氷川通信

鳥居~神域を隔てる結界~

神社に参拝する際に、一番最初に目にするものが鳥居です。神社の入口に必ず設置されている鳥居は、俗界と神域を隔てるために建てられています。つまり、鳥居の内側が神聖な場所であることを示しているのです。

また、外部から神域に邪気(悪いもの)が入らないようにするための結界でもあります。全面が赤く塗られている鳥居がありますが、古来、赤い色には魔除けの力があるとされていたことによります。

鳥居の起源については定説はなく、様々な説が唱えられています。天照大御神が天岩屋戸(あめのいわやと)に隠れたとき、八百万の神々は天照大御神に外にでていただくため、長鳴鳥(ながなきどり:ニワトリのこと)をたくさん集めて鳴かせました。この時、長鳴鳥が止まった木を鳥居の起源だとする説があります。つまり、「鳥が居る木」で「鳥居」です。

また、インドの仏教寺院やヒンドゥー教寺院の「トラナ(サンスクリット語で塔門の意味)」が日本語に転じてトリイ(鳥居)になったという説もあります。

あるいは、「通り入る」という言葉が、やがて短く「とりい」にへ変化し、その音に合わせて「鳥居」という漢字が当てはめられたともいわれます。

赤坂氷川神社境内には、南側の参道と東側の参道にそれぞれ2基ずつ鳥居があります。このうち、一の鳥居(南側)には「大正十一壬戌年九月」「麻布 芝 氏子中」と記されており、麻布・芝周辺まで信仰が及んでいたことを物語っています。

 

また一の鳥居には「御即位記念 寄附 苗村又右衛門」の銘があり、大正4年(1915年)11月の大正天皇即位の礼に合わせて、氏子惣代の苗村又右衛門から奉納されたことがわかります。